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局長日誌14 メーホンソーン案内記 第1話

 人と人との縁というものは不思議なものである。昨日まで知らない者同士だった人達が今日出会い縁(えにし)する。しかもその縁というものの糸を辿っていくとそれは必ずしも偶然によって惹き起こされた出会いではなく、必然の出会いであったことに気付かされることが多い今日この頃である。

6月19日の午前9時半、私はチェンマイ空港の国内線出口でお客様を待っていた。改装工事が一向に進まない国内線の出口は相変わらずで、仮設の狭い扉が、取って付けられたように設置されている。そしてその出口付近にはいつものように、チェンマイ到着の乗客を迎えに来ている人達で溢れ返っていた。お客様が搭乗し、こちらに向かっている便は、各便の到着を知らせるアナウンスボードで30分遅れと表示されている。お客様と私はこれからチェンマイ空港でチェックインをして10時45分発のメーホンソン行きの飛行機に乗らなければならない。

「10時に飛行機が空港に着くとして、バッケージクレームで荷物を回収したりしてだから、ゲートを出て来られるのは、10時15分くらいだな。」

私はそう独り言を言ってその場を立ち去り、時間をつぶすために空港内のカフェへ向かった。

カプチーノでの一服が終わり再び国内線の出口へ行くと、さっきよりも多くの出迎えの人達で出口付近はごった返していた。しばらくその場に立っていると、飛行機の到着を知らせる放送がロビーに流れてきた。

本日のお客様は3名様である。その内のお一人とは面識があるが、あとのお二人とは今日初めて出会う。初めてのお客様を空港で迎える時はいつも少し緊張する。 

開けっ放しの仮設扉の向こうの荷物受け取り用の回転テーブルに乗客が集まり始めた。私はお客様の姿を探した。さっき三人の内、一人とは面識があり、あとのお二人とは面識がないと言ったが、二人のうち一人の方はテレビで拝顔したことがある。

一人、二人と乗客たちが出口から出て来はじめた。それから10分くらい経ってから漸くスーツケースを引いた、私の知人が目の前に現れた。その人の後ろには、今回メーホンソーンへ一緒に同行するお二人のお姿もある。
 
私は挨拶もそこそこにタイ航空のチェックインカウンターへ三人をご案内した。メーホンソーン行きの飛行機が出発する時刻は迫っている。チェックインを無事済ませた私達は、飛行機の搭乗口を目指し、少々早足で空港内を移動した。

「なんとか、飛行機には間に合いましたね。」搭乗口に着いた私はホッとしてそう言った。「先程は挨拶もそこそこで失礼いたしました。私が今回皆様をメーホンソーンへご案内いたします慧燈財団の小西です。どうぞよろしくお願いいたします。」そう言って私はお辞儀をした。

「私は岩城良生と言います。どうぞよろしくお願いいたします。」と言いながら、岩城さんは礼儀正しく名刺を差し出した。名刺には特定非営利活動法人(NPO)メコン総合研究所 副所長兼 事務局長と書かれてある。実は、岩城さんの前の国籍はミャンマーである。今は日本人に帰化されて日本国籍を取得されている。岩城さんの容貌は色白でソフトな顔立ちだ。そして目が優しい。また完璧な日本語をお話になるので、そうと知らなかったらミャンマーがご出身とは絶対に分からない。私は職業柄、たくさんの外国人日本語学習者と日本語で話す機会があったが、岩城さんより流暢な日本語を話す日本語学習者に会ったことはない。

「あっ、そうそう、僕も名刺、新しいのに変わったの。」3人の中で私が唯一面識ある方から真新しい名刺をいただいた。産経新聞 フジサンケイ ビジネスアイ 東京本社 編集局経済本部 次長 将口泰浩さんである。実は将口さんは今年の一月に「未帰還兵(かえらざるひと)六十二年目の証言」という本を上梓された。この本が今、売れている。本の内容は、昭和18年に日本陸軍がタイ・ビルマ方面で展開したインパール作戦に従軍した日本人兵士達の物語である。戦争が終わった後も祖国へ帰らずにタイに残り、日本人としての誇りを持って生き抜いた人達の話である。そのノンフィクションを将口さんが執筆されるにあたり、現地の取材でチェンマイ近郊のランプーン県・メーホンソーン県・チェンライ県へ道案内兼通訳として同行したのが私だった。

私がお二人からいただいた名刺を上着の内ポケットに入れていると「あっ、私も名刺あります。」と今回の旅で紅一点のその方は私に名刺を差し出した。初めて見るタイプの名刺だった。名刺の表が風景画になっている。風景画の中には、麦藁帽子をかぶった白いワンピース姿の少女が港湾に佇んでいる。静かな白波を曳いて港湾の中を通る一隻の遊覧船。その向こうには2塔の高塔から張られたケーブルで吊られている斜張橋の橋梁が山と山の橋渡しをしているのが見える。そしてその上空の青い空を一羽のカモメが飛んでいる。少女は、後ろ向きで立っているのでどこを見ているのかは分からない。その名刺表の下部には安倍昭恵と書かれていた。安倍前首相の奥様 安倍昭恵夫人である。
 
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テーマ : タイ・チェンマイ - ジャンル : 海外情報

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